国境封鎖とスイス人家庭の生活コストの関係

ドイツやフランスに近いスイスの街の人は支出増

 国境が封鎖されて一月半ですが、スイス人の生活コストにも変化が出てきています。国境側に住んでいるスイス人は特に、お隣のドイツやフランスに買い出しに出かけることが多いので、日用品をスイス国内で買わないといけません。物によっては3割近く安いドイツやフランス側で買っていた商品群が、じわりと家計に響きます。頻繁に隣国へ買い出しに行っている家庭からは、生活コストの上昇を感じていると聞きました。女性は特に化粧品関係で同じメーカーの同じ商品をスイスで買うと倍以上するので、支出増は必至です。
 食料品に関しても、毎回ドイツで1週間分を買う家庭を知っていますが、かなりのコスト増になっているようです。

ドイツやフランス側のスーパーも売り上げが落ち込む

 逆を考えれば当然のことですが、国境側のスイス人客を主な顧客にしていたスーパーでは、売り上げが落ちています。地元の人たちの購入ではカバーしきれない消費量が、この1ヶ月は入ってきていないわけですのでかなりの打撃です。一方では、スイスからの買い物客をあまりよく思っていない人もいて、街が空いていて良いという声もあります。

国境を超えて買い物に行くと罰金

 国境が封鎖されていても、仕事の契約がある場合や、家族が国境の向こうに住んでいる場合、何かしら正当な理由があって国境を越えることができる人がいます。そうした人でも、大量に買い出しに行ってスイスに戻れば罰金となります。

 スイス政府としても、国内での消費が国境封鎖で増えることには不満はないと思いますが、近隣諸国との足並みを合わせていく事も求められています。実際オーストリアは、夏の休暇に向けて、スイスとドイツの3国の国境の早期開放に向けて働きかけをはじめていますが、こうしたことにも応じていかないと、国内経済だけでは、やっていけない事もわかっていると思います。何れにしても、各分野において、専門家を交えての協議がなされて、スイス政府の会見も頻度が増していますので、自粛緩和に向けて今後もしばらくはスイスと近隣国の対応を注視していきたいと思います。