スイスでは外出自粛なのに出歩く人が多い

スイス生活では誰もが初の外出自粛

 新型コロナの影響で、現在スイスでは「外出自粛」の生活が続いています。正直少し前には、「外出禁止令」が出ると覚悟していたのですが、自粛のままです。
この自粛がもたらしている状況は、森のハイキング、ジョギング、自転車、散歩の人たちがいつもより多いことです。街中はお店も閉まっていて、ゴーストタウン状態ですが、郊外に住む自分が見ている光景は、天気の良い外を歩く高齢者や親子連れが増えています。

 自身も買い物に行く頻度を減らして、なるべく人とは接触しないようにしていますが、犬がいるため散歩に出ることがあります。この犬の散歩も家族で行かないように誰かが一人で行くようにし、高齢者が道を歩いていたら、反対側の歩道に移動するなど、一応気を使っています。しかし、散歩中に出会う人や見かける人が、はっきりいっていつもより多いです。しかも、リスクの高いと思われる高齢者が圧倒的に多く散歩に出かけています。

 最初の頃は気がつかなかったのですが、ウィルスを拾いかねない状況を自ら作っているとも言えるので、街中ではないにしろ、リスクはリスクです。もちろん、外の空気も吸いたいと思うので、理解はできますが、郊外の自然の中なら安心と感じてしまうようです。当然街中やトラムやバスの中、人混みに行く場合より感染リスクは低いでしょう。しかし、老人ホームなどは、既に外出禁止になっており1歩も出られません。高齢の方はそれを知っているはずですが、結局「外出自粛」の下、買い物にも自由に出られます。

圧倒的に増えたジョギング人口

 高齢者以外には、おそらくホームオフィスをしていると思われる働き盛りの世代の人たち。彼らもまた、普段にない環境でストレスが溜まり、ジョギングに出ているようです。時には、臨時休校中の子供も付いて来ています。もちろん「外出自粛」ですからなんら問題はありません。
 それでも、いつも近所で遊んでいた子供達はいませんし、外遊びを自粛をしているのは感じます。息苦しさもあります。

 問題はこうした人たちが、交差するときがあるわけで、例えば、散歩やジョギング中の若い人が実は無症状の新型コロナ感染者で、高齢者とすれ違う場合。目には見えないレベルで、汗が飛んでいるかもしれないし、花粉でくしゃみをするかもしれません。全く大げさな話で、街中よりは感染する確率は低いでしょう。でも、実際に郊外でも感染者は出ています。つまり、郊外であろうと感染は外で起きているわけで、その辺の意識の無さとスイスの感染者の増加が比例しているような気がします。実際に、スイスの人口比で見た感染率は世界でも上位クラスです。やはりどこかに、スイスは安全な国、新型コロナ感染も他人事の人がいるようでなりません。

スーパーのレジの列が長くなった

 スーパーでは、少し落ち着きを取り戻しているように思えますが、レジの前では、2mの距離をとるテープが貼られ必然的に列が長くなっています。それでも、かなり近づいて並ぶ人や商品を取るのに、平気で前に入ってくる人がいます。中には順番を抜かされたと怒る人もいて、それはいつもいるかもしれませんが、どこかイライラしているようです。

マスクをしている人もほとんど見かけない

 外出してしまう以外にも、マスクをしている高齢者はほとんど見かけません。マスクをする習慣がないのはわかりますが、この環境でもマスクの人がいないのは不思議です。日本の街中の風景は、ほとんどがマスクをしていて、していない人はマスクをしたいけど入手できていない人だそうです。どこにも売っていない状態です。

 きちんと外出自粛を守って行動している人も多いです。知人のスイス人も、皆がこのまま勝手な行動をしているようなら、近いうちに外出禁止令になると言っていたように、「外出自粛」では、規制が弱いと思っているようです。ピークはまだ数週間続くと言われていますが、このピークを越すためには、やはり人々の行動にかかっているのかなと思うこの頃です。