同性愛者の権利

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同性愛者の権利の進歩

2/9に行われた国民投票では、同性愛者に対する差別の厳罰化に関する法案が可決されました。
過去10年ほどで、同性愛者の権利が徐々に確立されつつあると感じます。現在は、まだ同性愛者の婚姻は法的にも認められていないスイスですが、こうしたステップを踏む事で、将来的にはスイスでも認められる可能性はあります。
まだ婚姻は認められていませんが、例えば、夫婦同然の権利を得るために、必要な手続きを取り、署名する事で、法的にも家族という枠で権利を得ることができます。
例えば、同性愛者のパートナーが病気や事故で、危篤となった場合、親族以外面会できないことがありますが、そうした場合でも上記の署名をしていれば、面会が可能になります。

婚姻の次の目標は子供

こうしたプロセスの先にあるゴールは、同性の婚姻を認めることと、長い間思っていましたが、現在ではその先があることもわかりました。
つまり子供を持ちたいと思う同性愛のカップルがいるということです。

女性カップルの場合

この場合は、いろんなケースが考えられますが、一つは、女性の同性愛者が、過去に男性との子供がいて同性愛のパートナーと暮らすケース。これは法的にも実子ということで問題はありません。親権は母親にあり、同居人のパートナーにはありません。
女性は自身が妊娠することが可能なので、体外受精でも子を授かる事は可能です。

男性カップルの場合

しかし、男性の場合はどうでしょうか?スイスのドキュメンタリーでも放送していたのですが、スイスでは代理母による出産は認められておらず、アメリカへ行って、代理母を探し、子を授かった男性カップルの話が紹介されていました。現在はもう一人のパートナーも同じ代理出産を試み、代理母が妊娠中という事で、4人家族となる予定です。
この場合も、一応それぞれの実子ということになります。スイスでは認められていない代理母出産なので、反対意見もありますが、スイス人でも可能であることが証明されました。しかしながら、代理出産は不妊治療と同じで、100%子を授かれるわけでもなく、更に相当なお金がかかります。誰でもできることではありません。

養子を考える同性カップルの場合

もうひとつのケースはさらにハードルが高いように思います。代理出産ができないカップルは、養子を迎えるという選択を考えている人もいます。これもハードルが高いようです。もともと、同性カップルでなくても、養子を迎えるために受ける夫婦には、厳しい審査があります。収入面から、生活環境、面談によるヒアリングなど、受け入れる準備は万全でなければ、養子は受け入れられません。
そこに、同性愛カップルが、養子を迎えるには、クリアしなければいけないハードルが多く、厳しいのではないか?と言われています。経済的な理由ではなく、世間的にどう見られてしまうか、子供がいじめを受けないか、子供が大きくなった時に、その説明に納得するのか。

スイスで暮らし始めてから、もう長いですが、上記のような同性愛カップルも養子を迎えた家族も身近に存在し、自分にはどこかの遠い国の話ではなくなっています。
様々な困難を人類が乗り越えてきたように、こうした障壁も将来的にはなくなって行くのだろうと感じてはいますが、不安もあります。
それでも、今回の国民投票を見て、1歩前進した事は確かです。