親の老後について2


前回の記事では、筆者の義理の両親が他界するまでを少し書いたが、その後の葬儀から各種手続きについても少し紹介したい。

義父が亡くなった際は、家もそのままで、義母もそのまま同じ家に暮らし続けたため、大きな整理をすることはなかった。
もちろん事務的な処理はいくつかあったが、それよりも精神的な支えを必要としていた感じだ。
人が亡くなる時は、長らく病床に伏して家族が心の準備ができる場合はまだいいが、突然亡くなる場合は、どうしたって慌てる。
故人が生活していたままの状態で何もかもが残されて行くからだ。
義母の場合は、その突然だったため、まずはショックが大きいのと、何を先にするべきかなど、優先順位を決めるために追われて悲しむ暇がないくらいだった。
葬儀の手配、葬儀後の会食の手配、親戚への案内もすべて行い、本当の悲しみは葬儀の後、故人家の整理をしているときにやってくる。
葬儀の後は、墓石業者から大量の案内が届く。地域の新聞に亡くなった方の名前と住所が出るためだ。更に郵便の転送をしてあると、それらがしばらくの間大量に届く。

しかし、時間は待ってくれない。まずは家の解約、持ち家の場合は相続や売却の手配、その間に残された膨大な量の書類や契約していた保険屋定期購読の解約など、フォルダーを調べていかねばならない。その上、まだ支払っていない請求書もあり、半年はこの作業が続くことを覚悟しなければならない。
突然亡くなる場合は、決めてなかったことが実に多く、生前に色々と整理しておくと良いかもしれない。

そして、難関は家具類と衣類、食器類。子供達が全て引き取れる場合はいいが、はっきり言ってほとんど無理である。この場合も下取りをする業者に連絡して取りに来てもらう必要があるが、価値がないものは引き取ってくれなかったりして、なかなか思うようにはいかない。思い入れのあるものをいくつか引き取るとを決めたら、目をつむり、思い切って処分していかないといつまでたっても終わらない。売ろうとしても売れないものが多い。
中には、親戚や友人たちを呼んで、好きなものを持っていってくれと、オープンハウス形式でやる場合もあるが、それでも全部処分できるわけでもない。
これらの処理が済むまで約半年、その後は引き取ったものを自宅で整理して行くが、ついつい後回しになり、数年後に時間を割いて行ったりする。

これらの経験をして自分が思ったことは、まさに最初の記事に書いた日本に住む親が最期を迎える時、どれだけスムーズにこうした処理が行えるか。
日本にいる兄弟や親戚ともある程度話をする機会があるといいのだろうが、なかなか難しい。ともあれそうした時のために、定期的に連絡だけは取らねばいけないと思う。

外国に暮らす全ての人は同じ問題を抱えるわけだが、ネットや技術の進歩でいくら便利になったとはいえ、母国との物理的な距離は変わらない。
自分の立場で出来ることを考え、一度そうしたことを話す機会を作らねばと思う。