スイス人になりたいならパスポートは一つに。そう提案するのはSVPのヒュッター氏。現在既に2つ以上のパスポートを取得している外国人及び他国のパスポートを有するスイス人は例外であるが、今後新たにスイス国籍を取得する者は、もう一方の国籍を放棄せよというもの。

 まだ、提案の段階ですぐに大きな動きがあるわけではないようだが、現在もっとも多い多重国籍の人はイタリアで、30%近くを占める。しかし問題はイタリアではないようで、スイスの北のお隣ドイツにあるようだ。

 実は2007年8月から、ドイツは多重国籍を正式に認めるよう法改正を行った。その結果スイスのパスポートを取得したドイツ人が急増したため、ただ単にEU以外のパスポートを保険のような形で取得するのはいかがなものか?といったところであろうか。
 ご存知日本も多重国籍を認めてはいないが、他の国のパスポートを持った日本人もしくはハーフの人は実際大勢いる。外務省のHPを見ると、

-国籍の選択について-
 外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は、22歳に達するまで(20歳に達した後に重国籍になった場合、重国籍になった時から2年以内)に、どちらかの国籍を選択する必要があります。選択しない場合は日本の国籍を失うことがありますので、ご注意下さい。
(外務省HPより)

となっていて、確実に失うとは書かれておらず、非常にあいまいな表現になっている。世界の国々では、主に血統主義国籍法と生地主義国籍法に分かれており、日本は血統主義を採用していて、日本で生まれた在日外国人の子供は、日本で教育を受け成人しても国籍は取得できない事になる。

 外国人にとっては非常にデリケートな問題にもなりかねない重国籍問題で、まだ将来を決められない子供たちにとっては非常に難しく辛い選択になる事もあるというのも事実。スイスも日本もそうですが、ネガティブな側面ばかりを見ずに、重国籍のメリット、将来を担う次の世代の事も考慮し、議論して頂きたい問題です。