海外に暮らしていて困るものは、手に入りにくい書籍や日本の食材と言う人もいるが、床屋や美容院の違いも多くの人が失敗談を持っているはずだ。当方は男なのであえて「床屋」としたが、男の散髪なんか、どうにでもと思うだろうが、これがまた難しい。
日本人の多い町に住んでいれば、必ず日本人の美容師さんがいて、日本語で細かなリクエストを出せるが、これが地元の美容院となるとなかなか難しい。床屋や美容院は、多くの場合、地元で通い慣れたところに行くのが一般的なので、特に女性は日本国内でも美容院を変えて失敗するくらいだから、海外での苦労は想像に難くない。

 さて、当方の体験談を紹介すると、まず移住して来た当時は、どこに行けば良いのかすら分からず、飛び込みで何軒か入るが、どこも同じ失敗。いわゆる「すきばさみ」を持っていない。しかも、こんな固い髪の毛は切った事がないと文句を言われ、ブツ切り状態。そう、欧州の人とは確かに、髪の質も違うし、扱いが難しいようだ。それでいて言葉もうまく通じないとなると、向こうもどう切っていいのか、分からないだろう。一度だけ、美容師さんがフランス人で、英語もドイツ語も分からずに、何だか訳が分からず切られたこともある。

 そんな事を繰り返すうちに、5年前に地元の美容室ですきばさみを持った、イタリア人の美容師さんに出会った。彼女はすきばさみだけでなく、カミソリですいて行く手法も可能だ。今までの苦労話をしてみると、すきばさみやカミソリで髪の毛をすく事が出来る美容師はやはり少ないそうだ。イタリア人も固くて黒い髪の人が多いので、彼女は慣れているんだとか。
お店でもすきばさみを持っているのは、彼女だけ。それ以来、5年以上彼女に切ってもらっているが、一度も不満はない。値段も手頃で40フランから45フラン。下手をすると日本より安いくらい。この物価の高いスイスでは、格安と言っても良い。ちなみに個人の美容室ではなく、チェーン展開する会社だから、まあ安さも売りなんだろう。

 もっとも、高級な美容院に行けば、女性の場合は1回で200フランもかかると言う人もいるが、こちらとしては、髪の毛をすいてくれるなら文句はない。
日本人女性の場合は、言葉に問題が無くてもやっぱりスイス人に切られるのが怖いとか。出張の日本人美容師さんにお願いする人も多いようだが、それを聞くとうやはり女性は苦労するんだなと感じる。どうせまた伸びるんだし、と言うわけにはいかないシビアな問題のようだ。海外生活も楽じゃない。