6月1日、スイスでは国民投票が行われた。今回の内容は3つ。①外国人がスイスの国籍を取得する際の選定方法について。②国民投票前の連邦政府による国民投票の内容に関しての推奨活動制限について。③健康保険制度の憲法導入について。の3項目であった。

 結果は全てにおいて否決された。まず外国人のスイス国籍取得については、一部の自治体で住民投票が行われており、これに対して憲法違反であるとの判決が出ていた。この判決に対し、SVP(国民党)が改めて国民に是非を問う形となったが、ほとんどのカントンで否決された。

 次に、国民投票に関する政府による推奨活動制限については、7割が反対し否決された。連邦政府によるプロパガンダになる可能性もあり、そうした活動は減らすべきか否かという投票だったが、国民は連邦政府の意見を知りたいと言う明確な結果で否決となった。

 健康保険に関する件では、健康保険料の引き下げとともに、健康保険の制度を憲法に導入するべきかどうかの投票だったが、こちらも否決された。スイスでは健康保険の加入が義務付けられているが、保険料の上昇により、保険に加入しない人達がいるという問題を解決すべく提案された案であった。

 今回の国民投票以前から、SVP(国民党)内で起こっている分裂は更に溝を深める傾向にあり、ブロッハー氏のあとに大臣に就任したシュルンプフ氏の辞任要求まで出てきている。

 外国人の帰化に関する選定方法の問題については、外国人犯罪増加に強い不安を持つスイス国民としては、少々意外な結果であったが、人権を無視したような行き過ぎた選定方法を行う自治体に対して国民が冷静に判断した結果であろうか?スイスの国民投票の面白いところでもある。