今に始まった事ではないが、世界中で環境保護が叫ばれて久しい。エコブームも手伝って、環境にやさしいというのが、いわば決まり文句のようになって、農薬を使わないBIOの野菜なども人気がある。
 その一つに、ペーパーレスがある。パソコンが登場し、それに伴ってプリンターが普及した。仕事でも書類のやり取りはメールで済ませ、作成した書類はpdfにして送信する。ウェブ上にあげれば、そのまま読む事で紙を無駄に使わなくて済む。今ではE-Bookという電子書籍がその最たるものだろうか。

 家に眠っている本を、電子データ化してくれる業者がいて、全ての本をメモリーチップなどに入れる事が出来る。業者に本を送ると、背表紙を切り、全てのページをスキャンにかける。本そのものは戻ってこないが、iPadなどの端末に入れれば、何冊入れてもかさ張らないで済む。

 しかし、紙の需要が減っているかというと、そうでもなく、前述したプリンターの登場により、紙の需要は増えていると、紙の業者が話していた。書類を配布する際はメールに添付しているが、その先々では結局プリントアウトをしていると言う事だが、確かにパソコンが普及し、電子書籍も技術が向上した。しかし、今でも机の周りには紙があふれている。
郵便も広告も新聞も、全て紙のものが、毎日郵便受けに入っている。そして、毎月一回の古紙回収日には、路上に紙があふれている。

 もちろん古紙を回収して、リサイクルして使う訳だが、実際リサイクル率も100%ではないし、結局紙というものは無くならない。紙を無くすために、パソコンやプリンターが登場した訳ではないが、ペーパーレスをうたって、実は回収やリサイクルに多くの費用とエネルギーがかかっているのではないかと考える人もいる。
無駄を無くすというのは、紙に限らず良い事だと思うが、無駄をなくすために、また無駄が生まれているような気もする。
やはり、人間は何かを無くそうと思うと、その代わりを求めて何かを作ってしまうのではないかと思う。