スイスの病院で見た医療従事者の働き

多くの人が働く病院、社会との温度差

入院中は、医師、看護師を始め、実に多くの人が働いているのを観察できました。患者の食事メニューを毎朝確認しにくるスタッフ、清掃スタッフ、院内を案内するスタッフ、ほとんどのスタッフがタブレットやコンピュータに仕事内容を入力して行きます。情報が共有されれば、院内のどこにいても患者の様子を知ることができ、毎朝の医師による診察時間では、夜中に体調を崩したことや発熱したことなど、全て共有されます。

時には研修医の人も一緒に部屋にきて、主治医と患者の会話を一生懸命メモっていました。どのスタッフもとにかくフレンドリーで、礼儀正しく、挨拶をきちんとします。患者に処置を施す際は必ず患者の名前を呼びますし、非常に教育されている印象でした。時には冗談を言ったりして、常に患者の不安をほぐしてくれるような看護師の働きには本当に頭が下がります。

現在スイスは、コロナウィルスの第2波で病院の状況も日々変わっています。病院スタッフには間違いなく大変な時期が来ようとしていますが、それでも、その大変さを顔に出しませんし、病院内にも不穏な空気もありません。常にきつい仕事だからこそ、その程度では動じない医療従事者の強さも見た気がします。マスク着用義務になったり、夜のお店が閉まったり、色々と制限されることで世間は大騒ぎしていますが、それとは別次元で働く病院スタッフの方を見て、今年は旅行にいけないとか、パーティーができないとか、そうした不満を漏らしている社会との温度差も感じました。

今回の自分のように、コロナウィルスとは関係ない病気で入院したり手術したりする人は日々いるわけで、不用意に夜の街に遊びに出てウィルス感染してしまい重症化すれば、病院のベッドが一つ埋まるわけです。スイスのコロナウィルス感染者の数字を見れば、それが各病院にとって大変なことになるのは当然です。入院し、医療従事者の方々の大変さを間近で見て、一人一人の行動が大事になってくると改めて思いました。