大統領戦、スイス人の反応

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他国の選挙で世界中が盛り上がるのは、やはりアメリカくらいだろうか?
ドナルド・トランプ氏が次期大統領に選ばれた。女性初の大統領を目指したヒラリー・クリントン氏は得票数では上回ったものの敗北。
どちらも高齢で、トランプ氏の暴言がやたら目立ち、政策がほとんど見えてこない罵り合いの討論は見るに絶えなかった。
しかし、アメリカ国民はトランプ氏を選んだ。
おそらく今回は、どちらの候補もいわゆる「嫌われ者」だったように思う。オバマ氏の時のような、期待感はなかった。

スイスでもやはりトランプ氏のイメージが悪かっただけに、彼の勝利に驚いた人が多かったようだ。
差別主義者のレッテルを貼られ、傲慢な態度のトランプ氏は本当はどんな人物なのか自分にはわからない。
スイスにもこれからどんな影響があるのかまだわからないが、製薬会社の関係者は、クリントン氏が当選したならば、製薬業界に対するコントロールが厳しくなっただろうと予想していたので、トランプ氏で良かったという声もある。

とにかく、格差に不満を持つアメリカ国民が多く、彼らの不満の矛先を移民やマイノリティに向けたことで一気に火がついた。
彼は政治経験がないが、最も成功した不動産ビジネスマンだ。これらが選挙に勝つためのパフォーマンスだったのかもしれないが、駆け引きはうまいだろう。実際に不満を持ったアメリカ人たちをあれだけのバッシングの中、見事に引き付けた。
現在選挙が終了して、反トランプ氏のデモ抗議があちこちで起こっている。この状況で、過激発言は単なる票集めで、内政に関する公約もほとんど実行しないということになれば、これまでトランプ氏を支持していた人たちが暴れ出すだろう。そうなると、ほとんどのアメリカ人を敵に回してしまうことになる。

経済状況が悪くなり、外国人が増えると、保守的な考えの人が増えるのはどこも同じだが、アメリカの場合は、世界の人種のるつぼでありリーダー的存在のためその根は深い。一番の心配事は、不満を抱えたまま、戦争に突っ走ってしまう事が一番怖い。
そうなると世界を巻き込んで、特に同盟国の日本は自衛隊の協力と称し戦争に駆り出される可能性もある。

スイスでも様々な人種が混在し、外国人比率は欧州の中でも高い国だ。特に難民問題が深刻化する中、こうした排他的な風潮にはスイスに住む「外国人」としては居心地が悪い。
何れにしても、今回の米大統領選挙の結果が世界に与えた衝撃は大きい。8年前、オバマ氏が初の黒人大統領になった時と逆の衝撃だ。
良くも悪くも、非常にアメリカらしい選択ではあるが、今はまだ未知数である。来年1月に就任してからの新大統領の動向を世界は注視していかねばならないだろう。