本日、スイスで国民投票が行われた。投票が行われた5項目と、結果は下記の通りです。

1、児童に対する性犯罪の時効停止: 
可決、(Ja:1,206,222/51.9 %  Nein:1,119,172/48.1 %)
2、国民年金受給年齢引き下げ: 
否決、(Ja:970,490/41.4 %  Nein:1,374,107/58.6 % )
3、集団訴訟権: 
否決、(Ja:774,018/34.0 %  Nein:1,501,184/66.0 % )
4、大麻合法化案: 
否決、(Ja:848,470/36.8 %  Nein: 1,456,336/63.2 %)
5、麻薬法修正案: 
可決、(Ja:1,541,227/68.0 %  Nein:723,741/32.0 % )

 児童に対する性犯罪の時効に関しては、今まで16歳未満の児童に対する性犯罪の公訴の時効は15年だったが、今回の結果により時効廃止となる。これは被害者が告白し、明るみに出るのが35歳から40歳頃と遅く、家庭内で起きている性的虐待は、表に出にくい傾向にあるため。
 
 国民年金AHVの受給年齢の引き下げは否決。現在65歳の受給年齢を62歳にし、早期退職者を増やして、若年層に職場の確保をと言う主張だったが、少子化のため職場の確保は自然にできるので、意味がないと主張する人もいた。財源の確保も論点となったが、結果は否決。

 大規模な建設プロジェクトは環境に悪いため、一度認可された開発も反対運動やデモなどを通じて訴訟に持ち込めるか否か?経済発展にも左右するこの項目は否決された。賛成派の環境保護団体は300万フランをかけてキャンペーンを行ったが、これに対する批判も出てきそうだ。

 日本でも大きく取り上げられている大麻の問題。と言ってもスイスでは合法にするかどうかの議論であった。現在も少量の所持や個人の使用では検挙されない事も多いが違法。しかしながら、若者の大麻使用が増えており、中毒性がないとはいえ、更なるドラッグへのエントリーとなりかねない。オランダでは指定された場所で、正当な価格での取引及び個人の使用は認められている。マフィアの資金源を減らすと言う狙いもあるが、スイスでは否決となった。

 大麻合法化否決に続き、各カントンで実施されている麻薬更生施設での治療、医師の薬物の処方、重度のヘロイン患者への薬物配布などを、国レベルでも行い規制を強化する法案。この修正案については可決された。既にこの制度によって、麻薬に絡む犯罪率の低下や、患者の社会復帰にも成果を表している。これにより、治療を受ける患者は、スイスメディックへの登録が義務化される。