アメリカの金融危機で世界中を混乱させている株価の下落、為替レートの混乱は欧州にも当然来ている。この影響を受けて大幅に価値が下がってしまったユーロ。対日本円では現在1ユーロ/122円程度、昨年、1ユーロ/170円近くまで行ったことを考えると、極端な下げ幅だ。もっとも、ユーロの価値が過大評価されていたため、現在のレートの方が正常に近いという人もいる。

 円高により、スイスフランも対円では当然安くなっているが、対ユーロでは同じように以前に比べ、1ユーロ/1.46スイスフランと、ユーロが安くなっている。その影響もあってか、スイスと国境境のドイツやフランスの大型スーパーマーケットがスイス人で賑わっている。もともと、こうした国境境の地域にはスイス人をターゲットとしたショッピングセンターが多数点在するが、バーゼル近郊のドイツの街Weil am Rhein のRheinCenterでは、普段のバーゼルからの客ではなく、ベルンなどの遠方からのスイス人客が多く訪れている。
 
 スイスに比べ、食料品はものにもよるが20%ほど安い上、食料品、書籍は7%、その他飲料水、電気製品等は19%の消費税の還付が受けられる。このショッピングセンターの横にはドイツの税関があり、そこへレシートをもって行き、スイスに在住している証明をすればスタンプが押される。それを再びショッピングセンターのサービスカウンターに持っていけば、その場で消費税が戻ってくる。

 少量での買い物では大して得はしないが、大量に買い込めば、いくらかは為替の差で得をするかも知れない。それ以外にも、薬局でも多くのスイス人で賑わっており、スイスでは処方箋の要るような薬類も買える場合がある。また、肉類などはドイツの価格が魅力的であるが、昨年もあったEU国内に流通する肉のスキャンダルもあってか、肉はスイス産のものを買うと言う人も少なくない。
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 年末に向けて金融不安が少しは落ち着いてくれるといいが、こうした状況が続けば国内の消費も冷え込んでしまいそうだ。既にスイス国内でも企業内のリストラ(人員削減)が徐々に始まっており、40代、50代の人材から始まっていると聞く。近隣のEU諸国と取引のある会社は当然多いので、その取引先が倒産に追い込まれて、スイスの会社も共倒れするという事態も一部起き始めている。
 その一方でドイツをはじめ、各国から税金難民を受け入れているスイス。仮に、これら各国の大富豪が一斉に資金をスイスから引き上げたりすれば、それこそアイスランドのような状況にも成りかねないだけに、当面安心は出来ない。

SwissWonderNet