スイス全国で展開するスーパーMigros(ミグロ)で、労働組合のUniaが調査を行ったところ、週41時間から43時間に労働時間が増えている事がわかった。調査はレストラン部門や運送部門などを含め、全従業員の10%を対象に行った。
しかしながら、労働時間が増えた明確な理由が見つからず、既にお伝えしたALDIなどのディスカウンター参入による市場の変化によるものではないかと推測される。MigrosもCoopも揃って自社ブランド商品の値下げを断行しており、少なからず影響は出てくるであろう。
一方日本では、価格競争は相変わらずで、管理職のポジションを与えられた若い社員が、毎月限度のないサービス残業をさせられ、訴訟も起こっている。その訴訟例では、マクドナルドの店長が残業代の請求をし、日本マクドナルド社に支払いを命じており、今後の裁判にも影響を与えそうだ。ある会社では、店長職の社員が、月に300時間の残業をしており、管理職を名目に残業代が支払われなかった例もあり、スイスでは到底考えられない残業時間だ。
いわゆる団塊の世代が退職しはじめて、30から40代の中間層にどんどんしわ寄せが行く構図になっており、人材不足と共に、労働の質も今後問われていく。世界的な少子化ではあるが、相変わらず厳しい労働環境が浮き彫りになった裁判でもあった。
日本もスイスや欧州から、労働基準や社会保障に関するシステムを少しでも学んでほしいものである。