社内のデジタル化に困惑する社員

紙を減らすプロジェクト

ここ数年、スイスの友人たちの間でも話題になる、会社内でのペーパーレスプロジェクト。

紙を減らして、全てデータに置き換える作業を5年以内に完了させるというプロジェクトを行っている会社が多いようです。

職種にもよりますが、この変換作業に困惑気味の社員も多いそうです。

年代別での反応

現在のデジタルネイティブ世代は問題ないですが、30代、40代、50代、60代とそれぞれの反応は違うようです。

40代は、ちょうどインターネットが普及し出して、アナログの時代も経験してきた世代。

この世代は、ある程度対応できているようですが、人によってはPC作業やIT関連のツールがうまく使いこなせない人もいます。

50代もパソコン作業は問題なさそうですが、苦手な人に割合は40代よりさらに増えます。

60代となると、このデジタル化の影響が最も負担になっている世代になります。

パソコンやEメールは使えますが、社内システムの変更で作業に余計時間がかかっている人もいます。

確かに人生の大半をアナログで過ごしてきた世代ですので、なかなか厳しいものがあるかもしれません。

パソコンが得意な人や趣味でプログラミングをやっているような人は、問題ないですが、作業を効率化するはずのデジタル化で、処理の仕方やエラーへの対応に苦慮し、作業時間は増えているという人もいます。

慣れてくれば、以前より速くで作業ができるかもしれませんが、慣れた頃には定年退職とということもあり、モチベーションも高くありません。

システム移行中のエラー

デジタル化に伴い、社内のシステムを思い切って変えてしまう場合、データの移行をする場合に発生する不具合はつきものです。

通常は外部のシステム会社に委託してシステムの入れ替え作業などを行いますが、同時に通常の業務も進行しているのでシステムエンジニアは気をつけて作業をします。

それでも、通常の業務に支障が出てしまうケースも多く、データが取り出せない場合や、移行が完全にできていなくて抜けがあるなど、かなりのストレスがかかります。

喪失してはならないデータは先にバックアップを取るのが基本ですが、何らかの手違いでデータを喪失してしまうミスもないとは言えません。

こうした自分ではどうにもならない不具合のストレスに耐えられる年代も20代と60代では違うのは当然です。

頭ではデジタル化になるのは将来的にも便利で避けられないと分かっていても、自分がもうすぐ定年になる世代だとかなりのストレスのようです。

役所の紙データは膨大

ある友人が勤めている役所では、担当部署が離婚や遺産相続などの関係で、裁判書類なども多い部署です。

弁護士事務所と裁判所、役所と連携するので、正式な書類などは、コピーが必要です。

ある時は、120ページにわたる文書のデータをメールでもらい、3部コピーしてファイリングするということで、デジタル化とは真逆の状態だそうです。

一つの案件に、360枚の紙が必要なわけです。

この役所でもデジタル化の話が出ているそうですが、とても気が遠くなるような話だといっていました。

かつて、Eメールを仕事で使うようになった頃、全てのメールをプリントアウトして、ファイルに保管している人がいました。

メール社会になってから、紙を使う量が増えたと話している経営者もいました。

今後、紙がゼロになるとは思いませんが、デイタル化に伴う弊害はまだしばらく続きそうです。