処方薬の多いスイス

製薬業が盛んなスイス

ロッシュやノバルティスに代表されるように、製薬業が盛んなスイスでは、寿命も伸びて世界的にも長生きの国民です。

しかし、スイスでは、処方薬が多すぎるのではないかという人もいます。

中でも痛み止めの薬は、多くの人が服用していますが、強めの薬を多めに処方された結果、その薬無しでは生活ができないという人もいます。市販の痛み止めでは効かなくなっているのが原因です。

病気をして入院などをすると、かなり多くの薬が処方されます。中には、服用しないまま済む薬もありますが、その量は確かに多いと感じます。薬の副作用を想定し、その場合の薬も処方されるため、自然と多くなってしまいます。

自分の判断で薬を止めるのも危ない

ある知人が、リューマチ系の病気で毎日薬を服用していたのですが、痛みも無くなり良くなったと判断し、医師に言われた処方期間より早くに服用をやめてしまったそうです。

しばらくは、調子が良かったのですが、今度は風邪でもないのに、咳が止まらないようになり、かかりつけの医師に相談すると、リューマチの薬を自己判断でやめた事が原因だと言われたそうです。

調子が良くなっても、その薬は飲み続けなければいけなかったようで、その後数年にわたり咳に苦しみます。

このように薬が多いからと言って、自己判断で薬をやめてしまうのはリスクが大きいです。

診察の際に、薬の種類と量を相談する

医師は、患者の病気に応じて治療をし薬を処方しますが、それが果たしてその患者にとって正しい処置かどうかは、その時点では答えは出ていない事が多いです。つまり、病気の特徴と患者の年齢、性別などで判断し、統計学的に処方する薬の種類と量を決めています。

ある病気の薬が、8割の患者に効果があれば、当然それが正解となるので、残りの2割の患者に効果がなくてもその処方をするはずです。

多くの場合、スイス人または欧州人の基準で処方された薬は、我々日本人の体にとっては強すぎたり、量が多すぎたりする事が多いので、医師に少なめに処方してもらえるか相談することも大切です。

実際に、歯医者で治療の際、麻酔の量が多すぎて困った事があり、次回の治療の際は麻酔の量を減らして欲しいとお願いした事があります。それまで、治療後、予定の時間を過ぎても麻酔が効きっぱなしで、頭もぼーっとしてしまい、困る事が多かったのですが、減らしてもらってからは、そうしたことも無くなりました。

そうした意味で考えると、医師に処方される薬の強さや量が、自分に合っているものなのかは、日本人はもとよりスイス人にとっても見直してもいいものなのかもしれません。

メンタルの病気も増えて

また、痛み止め以外でも注意が必要なのは、精神安定剤(抗不安薬)です。特に若い人に増えてしまった、メンタルの病気、うつ病などにより、若いうちから強い抗不安薬を服用することで、過剰摂取などの弊害も起きています。

痛み止めの薬も過剰摂取することで、人体に悪い影響が出ますし、時に命の危険にも晒されます。

医師も慎重に処方する種類の薬ですが、メンタルに問題を抱える若年層の人たちの薬の管理もなかなか難しく、薬を溜め込んで一度に多めに飲んでしまうなど、問題も多いようです。

とにかく、単なる頭痛薬でも、安易に過剰服用などをすれば命に関わることにもなりますので、診療する際に処方される薬については、少し時間を取ってでも医師に種類と効果、処方量など、果たして自分に合っているのか?多過ぎないかなどを確認するといいかもしれません。