スイス国内の医療ミスについて

スイスの医療は最先端でも

スイスには世界的な製薬会社もあり、医療も非常に進んでいます。その辺は、スイスの平均寿命にも関係していると言っても良いでしょう。難しい治療などにも対応し海外からも治療に来る人も多いです。国民及びスイス在住者は、全ての人が健康保険に加入しなければならない義務があり、高額ではありますがそうしたシステムの元、スイスの健康は保たれているのかなと思います。

医療ミス、事故

しかし、そんなスイスでも医療ミスは起きます。初歩的な対応の誤りや、重大な手術のミスなど、自分の周りでも聞くようになりました。もちろんどこの国でも完璧ではありません。昨年末も突然の知人の訃報が舞い込んできましたが、心臓のバイパス手術のミスでその方は亡くなってしまいました。まだ60歳くらいでした。それ以前の病状が悪かったこともありますが、親族や関係者によると明らかな医療ミスということで、ショックを受けました。

緊急時の対応

また、身内の死についても、最近になって初期の対応が実は間違っていたという話を聞いて驚きました。それは、出先で心臓発作を起こして倒れた高齢女性が、近くの薬局のスタッフに介抱されたのですが、路上だったので気を使ってクッションのようなものを頭の後ろに置いたそうです。しかし、この対応で気道が確保できずに救急車が来た時はもう遅かったという話です。救急医もその事に気がついてはいましたが、対応できなかったようで遺族に説明に来ました。しかし、説明をする前に、冷静だった遺族が状況を察して、「仕方がありません」とひとこと言いました。救急医が少しホッとした顔をしていたのが、今でも忘れられないということです。このケースは救急医だけのミスではない気もしますが、人によっては訴えを起こしたケースなのかもしれません。自身も実はその場にいましたが、全くそんなことには気が付きませんでした。

ただし、この場合は助かっても、障害が残った可能性が高く、高齢で病気だった本人もそれは望んでいなかったと思われますので、逆に辛い想いをしなくても済んだというのが親族の話ですが、これが若い世代であったら、やはり問題になったでしょう。

合わない薬の処方で虫歯に

子供の場合は、もっと神経質になりがちです。まだ当方の子供が小さい頃、コルチゾールの入った鼻炎のスプレーを処方されました。その後しばらくして虫歯が出始めて歯医者に行きましたが、その時点は原因はわかりませんでした。歯もきちんと磨いていましたし、体質的なことかと思っていました。歯医者を何件か回った結果、ある歯科医に、「子供の歯の治療に詳しい歯科医にコルチゾールのスプレーを使ったか?」と聞かれて、驚きました。全く関係のない鼻炎スプレーが虫歯の原因だったとは思いもよりませんでした。そのスプレーの使用をやめてからは、虫歯はなくなりました。

ちなみに、子供の虫歯の原因に詳しい歯科医だったので、いろんなケースの虫歯発症を知っていて原因がわかったわけですが、やはりセカンドオピニオンも必要だなと感じた瞬間です。最初の歯医者では何も聞かれませんでしたし、急な不可解な虫歯の原因を聞いてもわからないというだけでした。

虫歯のケースは、医療ミスではないですが、少なくとも歯科医には周知された問題だったようですので、処方する小児科医や他の医師も知っていてもおかしくない情報でしょう。そうした情報の共有というか、患者を気にかけた診療をしてくれる医師は信頼できます。

病気になった場合は、同じ病気でも人によって症状も違うわけで、それを分析するのか医師なのかなと思いますが、患者の声に耳を傾けてくれる医師が一番信頼できると言っていいかもしれません。

医療は統計学

医療は統計学と言われますが、一つの薬や治療法が、例えば9割以上の効果があればそれが正しいとなります。しかし残りの1割で薬が合わなかったり、治療がうまくいかないケースもあるわけですので、そこに注目してくれることが患者にとっては大事なのかもしれません。

自身の経験でもありますが、何年も前にちょっと体に異変を感じ、偶然にも友人の医師二人にBBQで会う機会があったので、その体の異変について聞いてみました。治療が可能なのか?どのくらいの期間で完治するか?というざっくりとした質問でしたが、見事に二人とも違う答えでした。結果、片方の医師の言ったことが自分の症状と完治した期間とほぼ同じで、彼の予想が近かったわけですが、もう一人の友人医師が言ったことも消して間違いではありませんでした。

複数の医師の意見を聞くというのは、時間もお金もかかり、少々大変かもしれませんが、やはり大きな病気や治療を控えている時は、聞いてみると良いのかもしれません。最初に信頼できる医師に出会えればそれに越したことはありません。症状が軽いうちに防げる病気も多いので、定期検査をして、より気をつけたいと思います。