スイスの高校生、交換留学プログラム

アメリカへ1年留学

知人の息子さんが、この夏アメリカから戻ってきました。交換留学生として1年間向こうの学校に通っていたそうです。

英語はもうネイティブ並みに話せると親御さんが話していましたが、問題は残りの2年間の公立高校(ギムナジウム)生活です。

彼は高校2年生の時期をアメリカで過ごしたわけですが、交換留学プログラムなので、ある程度の単位をスイスの高校と共有し、留年はしないで同じクラスに戻ってきたそうです。

経済学コースに在籍していて、最初からそのような取り決めだったそうですが、高校2年の1年間の授業内容が抜けているため、結局来年には留年してしまうのではないか?という心配があるそうです。

実質スイスの高校には1年しか通っていないので、ついていけるのかどうかまだわからないそうです。

17歳という時期にアメリカで1年過ごし、言葉も覚えて貴重な経験だったに違いありませんが、留学にも目的がないと後が苦しいスイスの高校生活。

それほど、スイスの高校(ギムナジウム)の勉強は大変だということです。

医学部を目指す子もアメリカ留学

別の知人の娘さんは、この夏から同じ交換留学制度を利用して、アメリカへ渡っています。

この生徒さんは、医学部入学を目指し、将来医師になることを希望しています。スイスの高校で専攻は生物学で、アメリカの生物学と英語を学びたいという割と明確な目標があるそうです。

医療や製薬分野は、アメリカも研究が進んでいます。おそらく、将来アメリカの大学入学を目指していると思われ、そのための準備ということでしょう。

ちなみに、交換留学制度の規定では、カントンによりますが、1年目の全科目の成績が平均4.6以上でなければいけません。これを下回っている成績で留学をする場合、留学から戻ってきた際に、留年するというルールだそうです。もちろん、成績が大幅に下回る場合は、交換留学制度を利用できません。

高校2年目という時期は、授業内容もさらに難しくなっていく頃で、その時期に1年間抜けてしまうのを嫌う生徒もいます。

勉強だけでなく、友人との関係も気にしている子もいます。

進路を変更する子も多い

日本の高校生と違って、職業選択の時期がはやいスイスです。

そのせいもあってか、高校に入学したものの、自主退学して職業訓練に切り替える生徒も多くいます。

または、大学を目指すのではなく、専門学校で特定の分野の勉強に切り替えたり、将来のことを見据えて進路を選択していくのがスイスの高校生のようです。

とりあえず、大学に進学すればなんとかなるというような、昔の日本的な考えはありません。

大学に進学する生徒も、目標がはっきりしている場合が多く、この分野の勉強をして、専門職に就きたいと考えています。

結果的に、高校の時期から、自分の進路と向き合わなければ、宙ぶらりんの状態にもなりかねません。

スイスの教育システム、職業訓練システムを基盤にして、高校生活中にしっかり向き合うことで、自分の進むべき道が見えてくるとも言えます。