スイス・チューリヒの美術館「ビュールレ・コレクション」で10日、ゴッホ、セザンヌ、ドガ、モネの大作計4点が盗まれた。地元警察は被害総額を1億8000万スイスフラン(約175億円)と試算。世界の美術品盗難史上で最大規模の被害となる見通し。ただ、あまりにも有名な絵であるため売却は不可能という。

 4点は、モネ「ベトゥイユ近辺のひなげし」、ドガ「ルピック伯爵と娘たち」、ゴッホ「花咲くマロニエの枝」、セザンヌ「赤いチョッキの少年」。いずれも印象派、後期印象派を代表する傑作と評価されている。

 現地からの報道では、覆面の男3人が夕刻館内に押し入り、武装した1人が職員を脅して地面に伏せさせている間に他の2人が展示室の絵を外し、車で逃げたという。

 同館は、ドイツ出身の実業家エミール・ビュールレ氏(1890~1956)の自宅を収集品とともに公開。欧州有数の個人コレクションとして知られ、特に印象派の名作の宝庫といわれる。盗まれた4点は同館を代表する所蔵品だった。