TVでベルセ内務相がコロナ感染対策について討論会

スイス政府の目的は明確

ここまで見れば、明らかに政局が絡んだ政府批判と取れます。それは、現役の議員が出て質問した時に表れていましたが、スイス政府がコロナ感染防止対策を強化するのは、医療機関を圧迫しないようにするためのことです。現在スイスで重症化して入院しているコロナ患者は、ほとんどがワクチン未接種者。コロナ以外の患者のベットが足りなくなり、手術の延期も起きているのは、昨年経験したことです。伸びている感染者数を抑えるためには、今手を打たないと1ヶ月後に、病院がさらに大変な状況になるため、ワクチンパスの活用を提案していますが、これを逆手に取り、ワクチン接種の事実的強要だと反対派は批判しています。

確かに、状況的には、ワクチン接種の強要と取られても仕方がないのかもしれませんが、接種しない選択肢はしたくない人には残っているわけで、それを強要されたとは言えないでしょう。

討論会でも、なぜ打たないかは質問者も言いませんでした。健康的な理由であっても、政治的な理由であってもいう必要はないのかもしれませんが、では、この感染状況を他の方法で抑える代案があるのかというと、誰も答えられません。

イスラエルでの話を引き合いに出した議員は、ベルセ氏に「スイス国内の感染状況について話をしましょう」ときっぱり言われていました。確かに、他国の感染率を見ても、それとスイスで起きている感染状況は異なりますし、参考になりません。

コロナワクチン接種の彼とキスするな!

ある家族の話ですが、高校生の娘がいる家庭で、その娘には付き合っている彼氏がいます。しかし、彼女の家族はワクチンに強く反対で、彼氏にも打たないように言っていたようです。ワクチンを打つなら娘には会わせないとまで言いました。驚いたのは、その理由ですが、ワクチン接種者が未接種の娘にキスをしたら、コロナに感染するからというものでした。

結局、その彼氏はコロナワクチン接種をして、彼女の親に面会禁止を出されてしまいました。最後は親同士で喧嘩になって、会ってもいいがうちの娘とキスはするな!ということでした。色々な考え方をする人がいるなと思って、聞いていましたが、健康的な理由ではなく、思想的な理由で反対する人もいます。

このコロナパンデミックで、身近にいた人の思想信条や考え方がより明確になって、友人を失ったという人も結構います。ちょっと距離を置こうと思った知人も確かにいますし、交友関係にも亀裂が入る人が意外に多いのも見てきた1年です。

我々の生活を色々な面で分断しているコロナパンデミックは、あとどれくらい続くのしょうか?