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海外生活・移住を目指す方へ

海外生活も長くなり

いつかは海外に出て活躍したい!仕事をしたい!住んでみたい!語学を学びたい!

自分が学生の頃はそうした声をよく聞いたものですが、最近はどうもそうではないとか。しかし、当時を思い出してみると、危ない橋を渡らない人の方が多かった気がします。それもそのはず、就職氷河期世代となると、まずは正社員の地位を確保できるかに人生かかっていましたので、そんな悠長なことはいってられなかったというのもあります。

自身の海外生活は、学生の頃を入れると、通算で18年近くになります。母国日本以外では、カナダ、スイス、ドイツと暮らしてきました。現在は、スイスが一番長い滞在歴です。自分の人生の半分が海外生活となるまではまだありますが、こんなに長くなるとは当時は考えてもいなかった、というよりもそんなことは考えなかったと言った方がいいでしょうか。

海外に行きたい人は何かきっかけをつかめば良い

海外に住む理由は、人ぞれぞれですが、仕事の人もいれば、留学の人もいます。結婚して移住する人もいるでしょう。しかし、学生の頃は海外留学はお金もかかるし、その後のことも考えないといけません。現地に知り合いがいるとか、何かのきっかけをつかんで行く人も多いです。まずは、自分の行きたい国がどういう国なのか、旅行でも良いので一度行ってみることです。そこで肌で感じる海外の空気を体験して、実際に生活する想像をしてみるのも良いでしょう。可能であれば、現地の日本人に話を聞くのが良いでしょう。

異文化に関心のない人からすると、なんでわざわざそんな言葉もわからない不便な環境を選んで行きたいのか?という人もいます。治安が悪いので不安だという人もいます。全くその通りですし、日本人にとっては日本が一番住みやすい国でしょう。しかし、若いうちだからこそできる経験もあるので、もし自分がどうしても見てみたいなら、他人の意見は関係ありません。もっといえば、明確な目的がなくても良いのです。逆にそのくらいの強い意志がないと、やっていけないでしょう。20代ならやり直しはまだ十分できる年齢です。その時にできる経験は、50歳になってから経験するものとは全く意味も価値も違います。10年後はその経験が財産となっているはずです。

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良いことばかりではない海外生活

スイスという国に住んでいると、未だに日本の人から、ハイジの国とか、アルプスの風景を思い浮かべて、「良いところに住んでいるんだね〜、優雅だねえ」なんて言われますが、残念ながらそんなところには住んでいません。確かに休暇になればそうしたアルプスの景色も見に行けますが、やはり大きく勘違いしている人が多いです。正直にいえば、海外生活なんて不便なことの方が多いですし、言葉も文化も違います。最初は友人すらいません。辛いことの方が多いです。

勉強のためや仕事のために来た人は、滞在期限があり、その目的に向かって邁進することができるので、まだ良いと思います。旦那さんの海外転勤で一緒に来た奥さんや結婚して移住した人は、現地の生活で色々と苦労を強いられます。しかし、それも含めて楽しめないことには、海外で長く生活していくには難しいでしょう。日本に住んでいても理不尽なことは起きるはずです。それがたまたま海外だったというくらいに思うことが大事かもしれません。

現地の生活に溶け込むには

どこの国に行っても、現地の人と仲良くなるにはハードルが高いです。最初は決まって、自分と同じ外国人と会話をして仲良くなったりするので、友人はたくさんできたが、現地の友人が一人もいないということもあります。アプローチは趣味でもなんでも良いのですが、自分からその国の人に興味を持っていないと難しいでしょう。誰も日本からきた外国人に興味はありません。逆に日本に興味を持っている人と話すのが一番早いのかもしれませんが、そうでない場合に、あまりに日本の話題を出して会話をしても相手は困るだけです。

最初は誰も自分に興味がない、と思った方がいいでしょう。

そのためには、やはり現地の言葉を覚えないといけません。英語の上手なスイス人に、いつまでも甘えて英語で話していてもその距離は縮まりません。スイス人にとっても英語は外国語です。言葉はやはり現地に馴染むための第一歩であります。

自分を辛い環境に置く

これまで、日本での生活で言葉に困った日本人はいないでしょう。きちんと読み書きができて、話ができる。そんな当たり前のことが、海外に出た途端できなくなります。買い物くらいは大して困ることもないのですが、役所での手続きやアパートの契約など、スイスの場合、相手が英語で話してくれるとは限りません。

近所を走り回る子供達の言葉すら理解できず、一度は落ち込むでしょう。誰かの助けがないと生活すらままならない。そんな状況を打破したいと思えれば、自然と語学習得が最初の目標となるはずです。

差別も経験する

経験しなくていいのなら、差別される経験は誰もしたくないでしょう。それでもこれは多国籍の欧州において重要なことで、差別される側の気持ちがわかるようになれば、全ての意識が変わると言ってもいいかもしれません。スイスでも正直に言って差別だらけの社会です。差別をしている側は、差別していることに気がつかないこともあり、ひどい時は外国人同士が差別をしあうなんてこともあります。日本でどんなに語学を勉強して、流暢に話ができてもこの経験は出来ません。この経験があるのとないので、会話のスタンスも十分変わってくると思います。

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現地の社会に溶け込むには

いろんな国があって、いろんな文化や宗教、習慣の国があるので、全てが同じとは言えませんが、現地の社会に溶け込むにはどうしたらいいか?前述したように言葉は第1条件です。相手の国の言葉で話すという最大限の敬意を見せることが、最初の1歩。

次は、どんな集まりでもいいので、積極的に輪に入れてもらいコミュニティに参加する。それはハードルが高いという場合は、近所の人との挨拶からでも良いでしょう。最初は挨拶だけだったのが、世間話をするようになれば、自分の語学力もそこまで伸びている証拠です。信頼を得られれば、何かを頼まれたり、聞かれたりするでしょう。徐々に人間関係を築いていければ、それが一番いいかもしれません。学校や仕事場でも同じことです。仕事や授業が終わって、さっさと帰ってしまっては勿体無い。逆にスイス人の場合は、日本人のように仕事帰りに飲みに行ったりしないので、すぐ帰ります。でも、自分から前の日にでも誘っておけば一緒にビールの1杯くらいは付き合ってくれるかも知れません。

趣味があるのも良いでしょう。例えば、サッカーチームに参加して、一緒にトレーニングやプレイができれば、距離が近くなるのも早いかも知れません。どんな状況にしても、自分の置かれた環境で社会との接点を探して、広げて行くことが大事でしょう。

友人ができたら

友人ができたら、ある程度日本のことについても話す機会があるかも知れません。友人も興味を持ってくれそうな人がいたら、家に招いたりして、日本料理を振る舞うのは一番喜ばれます。食べることに興味のある人なら、絶対に日本の食生活についても聞かれるので、何か一つでも作れる料理があると良いでしょう。定番はやはりお寿司ですが、巻き寿司でも十分喜んでくれます。

食事のテーマは、基本的に入りやすいかも知れません。相手が他の国の人なら、その人の食文化も気になりますし、食べて見たいと思います。ただし、生魚が苦手なスイス人は結構いますので、無理な押し付けはダメです。

自分の国のことをよく知っておく

外国に行くと、その国の文化や言葉も大事ですが、意外と盲点になるのは、自分の国「日本」について、きちんと説明できるのか?ということです。相手もいろんなことを聞いてきますし、自分の知らないこともあります。例えば、日本の人口を英語やドイツ語でちゃんと言えるか?自分の出身地のことを説明できるかなど、聞かれて見て初めて、説明ができないことに気が付いたりします。その意味でも自分の国のことをよく知っておくことが重要です。

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何十年たっても自分は外国人

海外生活が長くなると、現地の人もスイス人と同じ扱いをしてくるようになります。普通に道を尋ねられたりしますし、自分が日本人だからと言って、わざわざ別のテーマに切り替えないで接してくれるのは嬉しいことです。人によっては、お前はもう半分スイス人みたいなもんだろ、と言ってくれる人もいます。それでも自分は外国人として暮らしている意識は何年経っても抜けません。2世となると話は別ですが、日本で教育を受け、育ってきた日本人としては、第2の故郷となることはあっても、やはり母国ではないのです。スイスの国籍を取得することはおそらく可能でしょう。しかし、日本は重国籍を認められていませんので、現地の国籍を取得する際は、日本の国籍を返上しなければいけないのですが、ある年代までは、スイス人との婚姻により、スイス側から貸与されたスイス国籍は日本側も認めていますので、実際には重国籍の人は存在します。アメリカや他の国でも、重国籍の日本人は存在します。

日本のパスポートの信頼度

日本のパスポートはスイスのパスポートと同様に、世界でも最も信頼のおけるパスポートとして、毎年信用ランキングが発表されますが、海外に住んでいても、日本のパスポートで困ったことは一度もありません。日本の発行した運転免許証でさえ、書類を出せば書き換えだけでスイスの運転免許証が取得できます。アジアでは日本だけだそうです。他のアジアの国の人は、スイスの自動車学校に通い取得しなければいけません。

また、他のアジアから来た友人は、自分の国籍及びパスポートで、不便なことがたくさんあり、友人はお隣ドイツに買い物に行くにもビザを取得しないといけないなど、小さなことですが面倒なようでした。それを聞くと、どれだけ日本のパスポートが信頼を得ていて、その恩恵を受けているのかを思い知らされます。アジア出身の友人はその後、スイスのパスを取得しましたが、そうした事情でスイス国籍取得を選ぶ人も多いようです。

国籍のことを考えるまでには、相当時間を要しますが、まずは海外に興味を持っている人が、どんな心構えでいたらいいのか、自分の経験も踏まえて少し書いてみました。他にも参考になりそうなことがあれば、また記事として書いていきたいと思います。

 

 

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