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小児喘息を患った子供時代から発作が出なくなるまで

喘息に苦しむ子供時代

子供の頃、主に小学校の頃は、喘息持ちで風邪などで体調を崩すと、必ず発作が出ました。学校も3日間くらいは行けず、体力的にも回復するまではしんどかった覚えがあります。その頃は親もとにかく色んなことを試して、改善するように努めていた記憶があります。肺を鍛えるために、水泳教室に通ったり、乾布摩擦をしたり、基礎体力をつけるようにしていました。海の潮風も喘息患者には有効で、自身は経験がないのですが、喘息患者を集めた海辺でのセラピー合宿があると言うのを聞いたことがあります。

自分の喘息の原因はハウスダストやダニ、動物の毛(自分の場合は猫の毛)でしたが、とにかく発作が出ると、仰向けに寝ることはできず、布団の下に座椅子を入れて、少し上半身を起こすようして寝ないと息が苦しくて眠ることすらできませんでした。うつ伏せでも少し楽になった覚えがあります。現在のコロナウィルスの患者と似たような症状でしょうか。TVで見る病院の様子は患者さんは必ずうつ伏せに寝ています。自分の症状がどの程度だったのははっきりわかりませんが、自分にとってはとにかく苦しいだけでした。そういう状態なので、長距離のマラソンなども苦手で、すぐにゼエゼエと息が苦しくなります。

中学生になり部活を始める

小学生の高学年からやっていたバスケットボールを、中学で本格的に部活として始めます。3年間辞めずに続けましたが、そこで体力が段々ついてきて、喘息の発作の頻度は下がって行きます。ただ、修学旅行などで、まくら投げをしたり、プロレスごっこなどをして、発作が出てしまったりとまだ喘息が出やすい体質だったと思います。布団が変わるとやはり弱かったようです。

ちなみに、発作が出た際にする治療は、病院での吸入治療です。何十分も吸入器に口を当てて、薬の入った湯気のようなものを吸い込んで、気管支を広げます。当時の実感としては、正直あまり効果のない気休め程度だった気がします。薬は処方されましたが、そちらの方が効果があったと思います。

実は自分の場合、吸入用の喘息スプレーを持っていませんでした。強いステロイドが癖になると喘息がひどくなる可能性もあるという認識で、もう少し体が成長してからにしようという事だったと記憶しています。その判断が正しかったのかはわかりませんが、喘息スプレー無しで過ごせていた分、改善はしていたのだと思います。現在はおそらく喘息スプレーも、良いものがたくさん出ていると思いますので、医師の判断で小さい頃から使っている子供もいます。

高校生になり発作の頻度が減る

高校生になり、自転車通学や地下鉄の通学で、人ごみに頻繁に触れるようになります。学校が終わって街に友人と出かけたりして、都会の排気ガスや汚れた空気に頻繁に接するようになりますが、喘息の発作はかなり減り、発作で息が苦しくて眠れないようなことは記憶にありません。やはり体が成長してきて、体力もつき、喘息の発作が出る前の風邪などをひきにくくなっていたのは確かです。

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初めて喘息用のスプレーを処方される

大学に入り、発作が出ることもあまりなくなっていましたが、やはり風邪をひくと他の人よりは気管支が弱いため、長引いたように思います。そして、在学中に欧州を旅行し、その後カナダに1年間行くことを決断します。心配だったのは、やはり言葉の不自由な外国での発作です。ほとんど出ていなかったとはいえ、空気も水も違う海外で、喘息が出ないとも限りません。行く前に医師と相談し、初めて喘息用のスプレーをもらいました。

喘息用スプレーの効果に驚く

実際に海外に行く前に、少し風邪気味になったことがあり、気管支が苦しくなったのですが、悪化させないために、このスプレーを使いました。その時のことは今でも記憶していますが、一瞬吸い込んだだけのスプレーが、瞬く間に気管支を広げてくれ、呼吸が瞬時に楽になりました。もちろん症状が軽かったせいもありますが、その効果に驚いたと同時に少し怖くなりました。

あれだけ苦しんだ子供時代の喘息の症状が一瞬で消えるのですから、まるで魔法です。やはり強い薬なんだと認識し、むやみに使うことだけは避けようと決めました。使い続けることで、喘息の発作がまた強くなってしまうのでは?という心配の方が先立ってしまい、なるべく使わずにいました。実際には喘息用のスプレー式ステロイド剤は、喉や気管支で止まり体全体に行くことはないそうですが、一瞬で発作がおさまる体験は自分には衝撃でした。

幸いなことに、海外滞在中は医者に行くこともなく帰国しましたが、この経験は本当に薬の使い方は気をつけようという気持ちになりました。実はそのカナダ滞在中にある喘息の学生の話を現地の日本語新聞で読んだことがあるのですが、自分と同じように1年間カナダに滞在していた日本人学生が喘息の発作を起こし、ホストファミリーが緊急に渡した薬が体に合わず、副作用を起こして亡くなるという恐ろしい話でした。海外での知らない薬の服用は、慎重にしないといけないということは聞いていましたが、その話を聞いて、人ごとではないと思いました。日本人も多い町でしたので、できれば現地の日本人医師に相談するのも大事なのかなと思いました。

日本と海外では、薬局で買える薬の種類も違うので注意

例えば解熱剤のアスピリン系の薬は、人によっては、喘息を引き起こすことが知られています。アスピリン喘息と言うそうです。昔は日本でも入手に医師の処方箋が必要だった薬も今は薬局で買える場合もあります。ですので、より注意が必要で、薬剤師がきちんと相談に乗ってくれればいいとは思いますが、副作用が怖い場合はかかりつけの医師への相談がいいでしょう。特にピリン系の薬は合わない人も多いので、たかが解熱剤と思わずに医師に相談するのがいいでしょう。

自分の場合は、喘息はもう発作が出ることはなくなりましたが、ドイツにいた頃に偏頭痛がひどくなり、薬局の薬剤師に相談して薬を紹介してもらいました。運良くその薬が合ったので、いまでもその偏頭痛薬をドイツの薬局まで買いに行っています。

今年は春先にコロナウィルスの感染拡大があり、イブプロフェンの薬がコロナウィルスに感染している場合に服用すると危険!というような、はっきりしない情報も出回りました。その後すぐに訂正されましたが、一つの薬が全ての人に同じ効果を発揮するわけではないですし、場合によっては、副作用となって現れるので、改めて薬の服用に気をつけています。

なお、傾向としてですが、スイスの医師はあまり薬についてはそうした効果や副作用の話やアドバイスをしません。もちろんこちらから聞けば意見を述べてくれるのですが、薬の効用や副作用については、薬剤師の方が説明が上手で体質に合わせたアドバイスをくれることが多いと感じます。「医師は病気の専門家、薬剤師は薬の専門家」と言う認識でいいのかなと思います。

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動物の毛のアレルギー検査/犬と暮らす

子供の頃は、動物に触るとアレルギー反応を起こして、喘息の発作が出る傾向にあるので、屋内では動物と過ごさないように言われました。確かに今でも猫の毛には反応し、喘息こそ出ないものの、鼻水が出たり、目が痒くなることがあります。しかし、犬の毛にはアレルギー反応が出ません。子供の頃は、動物全般がダメだと医師に言われていたので、今思えばあまりにもざっくりした範囲で気をつけるように言われていた気もします。

その証拠に、子供の頃喘息だった自分が、現在は犬を飼っていて、一度もアレルギー反応や喘息を起こしたことがありません。もちろん、もっと詳しく検査すれば、犬種によってはアレルギー反応が出るのかもしれません。我が家では、犬を飼う前に、ブリーダーさんに飼う予定の犬の毛をもらい、アレルギー検査を専門医のところで家族全員してもらいました。犬を飼うことなど、絶対にないと思っていた喘息少年が、いまでは犬と同じ家で暮らしています。

芝生の芽による花粉症

スイスでも喘息の患者は多いですし、春先の花粉で苦しむ人も多いです。日本ではあまり聞いたことのない、芝生の芽の花粉による花粉症というのもあり、欧州に移住してきた日本人が芝生花粉症になったと言う例もあります。そして、一時帰国の際に、日本の医師に相談したところ、芝の花粉症など聞いたことない!と言われたそうですから、ほとんど知られてないようです。そうした決めつけも医師としてどうかと思いますが、欧州では広く認知された花粉症です。

住む環境が変われば、体の調子が変わるのも当然です。如何に体質に合っている生活をしているか、原因を突き止めるのも時に難しいですが、まずは自分の体のことを良く知り、家族にもその情報を共有しておくことが大事でしょう。

お断り:この記事に書いた薬に関する効果や副作用は全て個人の経験ですので、詳しいことは、自己判断せずに医師にご相談ください。

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