スイスの病院で見た医療従事者の働き

入院患者の情報とプライバシー

晴れて正式な入院患者となった自分は、一旦救急病棟に戻り、早速投薬治療の準備を始めます。あっという間にチューブが繋がれ、そのまま車椅子に乗せられて入室。入院生活の開始です。
間も無く、担当医師が投薬治療の説明をし、看護師の方がテキパキと準備します。医師にも看護師にも患者の情報が共有されます。

移動式のパソコンを使い、データ入力して行きます。ちなみに職業や住んでいる環境、家族構成なども聞かれました。ベッドの横には、タブレット式のTV、ラジオ視聴、インターネットができるスクリーンがあり、まるで飛行機のビジネスクラスのような装備。電話もついていて、スマートフォンを持っていない人も家族へ電話をかけることができます。

二人部屋で、手術のために1泊入院の年配のお隣さんと挨拶をすると、とにかく人と話すのが好きらしく、10分ほどで彼の人生の半分くらいを語ってくれました。

スイス人は話好きの反面、人見知りで、最初は距離を置くタイプが多いです。しかし、病室という狭い空間では、そうではないのでしょうか?まあ、自分としては隣のベッドでずっと黙っていられても息苦しいので、ちょうど良かったです。

ただ、患者が医師と話をする際は丸聞こえです。どこが悪いか、今後の処置はどうかとか、そうした内容は筒抜けです。まあ自分はあまり気にしないので、良いのですが、病名など知られたくない人にはちょっと気になる点です。

最初の夜はあまり眠れず

チューブが繋がれた状態で、いつもと違うベッド。眠れないのは覚悟しておりましたが、今回は投薬治療なので、夜中や明け方でも時間がくると看護師の方が、チューブの差し替えをしにやってきます。辛いのはうとうと眠りかけた明け方の点滴交換。注射針を起き抜けに刺され、採血もされて、なんとも非情な寝起きでした。きっちり時間通りの治療に感心致します。

2日目は別の患者さんが入室

翌朝、お隣さんは無事退院。そして午後には、すぐ別の患者さんが入ってきました。自分と同年代でしょうか。鼻の手術をしたようで、包帯で巻かれた顔は、ボクシングの試合の後のようです。

それにもかかわらず、よろしく!と挨拶をしてくれ、このスイス人の人も10分くらい自分の人生を語ってくれました。結構プライベートなことまで話すので、まるで何年も前から知っている友人と話しているようでした。

会社経営者で、二十人の従業員を抱えているそうで、その分話はなかなか面白かったです。いろんな国を旅した経験もあり、日本にも興味を持っていました。

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