コロナ証明の提示義務を飲食店等にも拡大
スイス政府は、2021年9月13日(月)から2022年1月24日(月)まで、コロナ証明の提示義務を飲食店、ディスコ、屋内イベント、フィットネスジムなどにも適用拡大する決定をしました。先週の段階では、一旦見送りになっていましたが、1週間で適用拡大を決定しました。対象年齢は16歳以上の人です。この提示義務に違反すると100フランの罰金、お店や施設側が確認を怠った場合も罰金、もしくは営業許可の停止になる場合もあるということで、かなり踏み込んだ感染防止対策を決定しました。
映画館や結婚式も対象に/3つのG
映画館、舞台、コンサートはもちろん、結婚式もこの提示義務の対象になります。このコロナ証明はドイツ語では『3G』と呼ばれていますが、Geimpften(ワクチン接種済み), Genesenen(コロナ罹患済み証明), Getesteten(コロナ陰性のテスト済み)の3つのGが基本となります。
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スイスに入国の際に陰性証明の提示も検討
10月になると、再び人が動く秋の休暇ですが、罹患済みの人とワクチン接種済みの人を除いた人対象で、出発国に関わらずコロナ陰性証明を求めるという案です。更に、入国後の検査も実施し、7日目以降の陰性確認で10日間の自主待機の短縮を認めるという流れで検討をしています。
職場でのコロナ証明
雇用者は、従業員に対してコロナ証明の所持を確認できますが、これは職場において感染防止対策に必要である場合において認められます。この場合の従業員の検査費用は雇用者が負担。職場での定期検査は引き続きスイス政府の負担となります。
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ワクチン接種の強要だとデモ行進
この決定をした日の夜には、スイスの国会議事堂のまでには1000人あまりのデモ隊が集結し抗議をしました。自由を奪うな!ワクチンを強要するな!といった感じで、スイス政府の決定に批判的です。ワクチン接種は個人の自由であるにも関わらず、この感染防止対策を読めば、残された選択肢は無料ワクチン接種しかないのはおかしい!実質強要されているのと変わらないということです。職場や学校でもワクチン未接種者に対する風当たりが強いとも聞きます。
ワクチンを接種しない人がレストランに行くには、毎回コロナ陰性検査が必要で10月から有料となります。イベントや結婚式に出たい場合も余分にお金がかかります。つまり無料で済むワクチンか、コロナに感染して回復した場合のみ無料でコロナ証明を取得できるので、不公平に感じる人も多いようです。
病院が逼迫している状況で、自由やお金の問題ではない
しかしながら、なぜこのような感染防止対策を強化したのかは、新型コロナの変異株感染者が増加中で、病院の逼迫した状態を改善したいからです。医療現場のスタッフは、昨年同様すでに悲鳴を上げているところもあります。そして、コロナに感染した重症患者の90%がワクチン未接種ということから、スイス政府は割と厳しめの措置をこの段階で出していきたのだと思います。
そして、もう一つはロックダウンを回避したいという理由もあります。確かにコロナ証明提示を義務化すれば、飲食店などの確認作業という負担が増えますし、キャンセルも出ることになるでしょう。それでも、昨年のロックダウンで長い間苦しんだ飲食店にしてみれば、営業ができること自体ありがたいという経営者もいます。お店が営業できて、コロナ証明を持ったお客さんが食べに来てくれるのであれば、それはロックダウンとは比較になりません。経済活動をできる限りストップさせないという意味も大きいと思います。
ドイツやフランスでは、すでに飲食店等のコロナ証明提示義務は導入されていて、スイスは100万人あたりの感染率が隣国よりも高いにもかかわらず、コロナ証明提示は実施されていませんでした。マスクについても、不織布マスクでなくても入店できますが、ドイツでは不織布マスク着用の人しか入店できません。
感染者数が減って、ワクチン接種率ももっと上がればこうした規制も緩和されるでしょう。しかしながら、これから長い冬が始まることを考慮し、スイス政府は年明け1月までの長期間、このコロナ証明提示義務の実施を決めたようです。