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東日本大震災から10年

自然災害と原発事故

東日本大震災が起きた当日のことは今でもよく覚えています。義母から日本で大きな地震があったと電話があり、TVをつけると既に津波が平地を流れている映像が出ていた記憶があります。日本の家族とは固定電話が通じなかったものの、ネットでスカイプが通じ無事を確認。日本の空港が次々と閉鎖になり、お客さんの会社の対応に追われて、メールと電話でやりとりが続いたのを記憶しています。

近所に住むスイス人の牧師さん夫妻は、かつて日本の横浜に20年ほど住んでいました。それをどこからか聞きつけた地元のTV局が、インタビューをしたいということでやって来て、日本人の声も聞きたいということで、急遽一緒にインタビューを受けることになりました。
その時点では、地震による津波のことは知っていましたが、原発事故はまだ情報としては出ていませんでした。
それ以降、約1ヶ月はNHKが海外でもネットで見れるように、地震と原発事故の情報を連日配信していたので、毎日見ていた記憶があります。
この大災害で影響を受けた仕事の対応などをしながら、たくさんの津波映像や原発事故の映像を見て、1ヶ月後には妙な疲れがどっと出ました。スイスに住む日本の友人たちも、映像を見続けて精神的に疲れたといっていました。

この10年で焦点になった原発

この大災害から、欧州メディアの焦点は原発事故に向き、スイスも原発を2035年までには完全に止めるという決定を早くからしました。スイスやドイツでも反原発運動が頻繁に起き、福島原発の汚染状況や首都圏での放射線量の測定をしたドキュメンタリー番組などが多く放送されました。
その頃から、地震や津波で家や家族を失った人たちのことよりも、原発事故の方に注目が移っていきました。

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新しいエネルギー

原発に代わるエネルギーを求める議論も頻繁に起きて、時代は環境保護に向かいます。ディーゼルやガソリン車を将来的に販売禁止にして、電気自動車に切り替えていく自動車メーカー。環境保護を訴えるデモや活動も盛んになります。新たなエネルギーの研究開発の話は、たまに聞きますが、原発事故直後ほどではなくなりました。
原発事故から10年経っても実用可能な新しいエネルギーどころか、原発の汚染度の処理や封鎖された地域はそのままです。一時は完全に停止していた日本全国の原発も現在では一部が稼働しています。

そんな欧州でも、現在はまだ原発のエネルギーに頼っているわけで、電気自動車に必要な電気も原発頼りです。アウトバーンの充電ステーションやソーラーパネルもかなり見かけるようになりましたが、まだまだ少なく、一般家庭用のパネルもたまにしか見かけません。市町村単位では、大きなソーラーパネルを設置して、電力を買い取ったりするエネルギー事業もありますが、人々の日常生活がスムーズに動くには、まだ十分ではないようです。

TVでも10年を節目に福島原発の今を取り上げる

11日で原発事故から丸10年ですが、スイスのTVでも取り上げられています。福島の人々の生活や立ち入り禁止になっている地域の現在など、まるで時間が止まった空間のような映像が流れてきます。再度、この原発事故の大きさや怖さに注目されています。コロナウィルスのような感染症も怖いですが、日本人には地震や津波の怖さも忘れられません。

10年というと非常に長く感じますが、放射能にとっては無くなるような期間ではありません。戦争で2度も原爆を落とされて、福島原発事故で放射能汚染を経験した日本です。世界中が注目して、もう日本国内だけの問題ではないはずです。こういう大惨事でもいつもうやむやになってしまうので、日本には明確なメッセージを世界に出してほしいと願います。

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