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年間の医療コストが一人あたり9045フランのスイス

欧州でもトップの高額医療費用

2018年のデータ集計で、欧州の中でもスイスがダントツで医療にかけるお金の額が高いという結果が出ました。EU国の平均は3000ユーロですから、3倍弱の数字です。日本円に換算すると100万円を少し超えます。なぜこのような額になるのか、というのはスイスに住んでいればわかります。

高額な健康保険料

これには、健康保険料の高さも当然あります。毎年高くなっていき、支払いが難しくなる人も出てきていて、システム自体を変えるべきだという声もあります。医師の診療においても、1回見てもらっただけでも100フランかかる事もあります。電話での相談もきっちり請求書が届きます。さらに血液検査などをすれば、すぐさま専門の検査機関に送られて、その費用も別途かかります。血液検査の場合は、医師がその場で数値を見る場合もありますが、他の異常がないかを見るために、ほぼ強制的に検査機関に送られるため患者は調べないでくれとは言えません。
中には不要な検査もありますので難しいところです。そうした検査に出すと、何かしら平均値以上(以下)の数値が出ますので、それに対してさらなる診察が発生し、病気が発見される事もありますが、出ない場合も多いです。一般の人は病気の専門家ではないので、判断が難しいです。

健康保険がカバーする範囲にも差がある

スイスでは、プライベートの健康保険システムで、自分で保険会社を選べます。よく医者に行く人から、あまり行かない人まで、各人に合わせた保険のプランがありますが、これが結構複雑で保険を変える際には随分と悩みます。毎年秋の時期になると、来年の保険料が何%か上がるという通知があるので、保険の勧誘電話が毎日のようにかかってきます。
それで、安い方の保険に変える人が多いのですが、保険のプランw良く確認せず変えてしまうと、今までカバーされていた費用が実費になったり、対応が悪かったりということが多いので、安易に変えるものでもありません。やはり保険料よりも、対応の良さや迅速な手続きなどがネックになってきます。

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歯医者は別途保険が必要

ちなみにスイスでは、基本健康保険では歯医者の治療は保険対象外です。別途歯医者の保険を申し込むかしない限り除外されています。この辺も健康保険が歯の治療もカバーしてくれるお隣ドイツと比べても、金額の差が出ている気がします。ドイツに住んでいた頃は、毎月20ユーロを払えば、その月は何度治療に訪れても追加の治療費は発生しませんでした。もちろん、インプラントや大きな治療は除きますが、通常の検診や虫歯治療、噛み合わせの矯正をするために作ったマウスピースも、全て保険でカバーされました。これをスイスでやると、相当な額がかかると思います。

このように高額な保険料と医療費用で、スイスが欧州でもトップの額を健康面で支払っていることは明白です。今年はコロナウィルスのおかげで、さらに医療費は増していると思います。マスクや消毒液もそれに含まれると思いますし、ちょっとした風邪でも医者に走った人は多いでしょう。現在PCR検査などは無料ですが、当初は結構コストがかかりました。それに加えて、通常の季節性インフルエンザの予防接種も多くの人が受けました。

しかしながら、年明けからスイスでも供給されるであろうコロナワクチンは、無料であるにもかかわらず、スイス人は懐疑的に見ていて、周囲でも多くの人が今はしないと答えています。副作用などの不安はもちろん付きまといますが、そもそもワクチンが嫌いなスイス人ですので、どの程度の接種率になるのか想像がつきません。

ともかく高額なスイスの医療費。安心して暮らすためにはやはりお金がかかるということでしょうか。

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